今回は「社交ダンス入門」という題で、文学部心理学科3年で運営メンバーの宮田さんから発表者本人による華麗な実演つきで、社交ダンスにはどのような種類があるのか、どのように鑑賞すればいいのか、魅力は何か、どこでできるか、といった話がありました。
最初の1分間スピーチのお題は「私の社交ダンスのイメージ」。後の話にもありましたが、やはり「ウリナリ社交ダンス部」のイメージや「高貴な」イメージ、定義がはっきりわからない、といった話がありました。
さて、発表ではまず初めに、社交ダンスはどんなイメージかというところでウリナリの他に映画「Shall we ダンス?」(1996)のこともあげていました。
そんな、社交ダンスの定義は、「儀式や舞台用ではなく(一般人が男女のペアになり)楽曲に合わせて自由に、男性がアドリブで考えた女性に伝えて、二人で一緒に楽しむダンス」だそうで、国内ではいわゆる”Social Dance”を和訳して社交ダンスと呼ぶようになったようです。また、いわゆる競技ダンスや、その場のアドリブではなく振付によって踊るデモダンス・ショーダンスも広くは含まれるようです。
この社交ダンスの起源はヨーロッパにあり、もともとは貴族たちの出会いの場としてパーティー会場等で行われていたそうです。その場所以外に出会いがあまりなく、けっこうシビアな場だったとか・・・。基本的には交流目的のものであり、固定の相手と踊るわけではないものがメジャーになっているようです。
一方で、競技ダンスはスポーツ化していて、磁力でチャンピオンを決めるもの。大学でも体育会に属するようです。また、デモダンス・ショーダンスは表現したいものがまずあって、そこにむけて振りつけて踊るものだそうです。
さて、社交ダンスの種類ですが、種目は主に「モダン」と「ラテン」に分かれています。
まず、モダンですが、その中でさらに、
Waltz (最もメジャー。ゆったりした曲。滑らせる動き)
Quick step (足を散らしたり、ジャンプしたり、女性を持ち上げたり)
Tango (進行方向に直線的に進む。オペラ座の怪人、ノクターン、ダンゴ
3兄弟など)
Slow fox trot (ワルツと似ているが、4拍子)
Vienees waltz (ややマイナー。競技では基本的には行われず、他4つの合間や、
オナーダンスで踊られる)
に分けられるそうです。
競技大会などでは、ここからさらに2種を選択式などになっているようです。
服装は、男性は燕尾服(5万円くらいから)、女性は真っ赤なドレスなど、華やかなもの(レンタルで10万円くらいから)で、ヒールを履き、背中が開いているなど、男性に比べて様々なバリエーションがあるようです。
次にラテンについては、さらに
Cha Cha (ワンツーチャチャチャ。短い時間に、エンドカウンド1つの間にキレ
を出す)
Rumba (元は奴隷の恋愛の世界観。足をひきずりながら。ワルツに近くゆった
り。キューバなどで)
Samba (肩や腰を振って表現。体を思いっきりしならせる。ブラジルなどで)
Paso Dobre (闘牛の世界観。男性が闘牛に扮し、女性を牛やマントに見立てて)
Jive (アメリカ生まれ。比較的新しい。ジャンプして踊る。ハード)
に分けられるそうです。
こちらは、男性は胸元のガバっと開いたラテシャツ、女性は動きが見えやすいゆったりした服装で行うそうです。
分類の説明の後には、モダンについて実際の映像を見せてくれました(Ustream参照http://www.ustream.tv/recorded/10441258, 12分50秒)。紹介されたのはある世界大会の映像。ワルツを踊っているもので、スリーで上に上がる様子がわかりました。競技は、どんどん脱落者を出しながら何ラウンドも行っていく方式らしいのですが、かなり多くのペアがごった返していて、ぶつからないように動く、審判にチェックされやすい位置に動くためのアクションを取り入れている、ということでした。どれだけ動いても肩のラインが動かない、腰が離れないといったところがハイレベルだということで、体制を保つのにとても筋肉を使うそうです。
ラテンについて発表者の宮田さんが実演してくれました。
映像を見せられないのはとても残念ですが、ゆったりしたとても優雅な動きを披露してくれました。基礎練習においてはよく腰をひねるそうで、それをやっている限り太らないとか。コアリズムの動きもラテンから来ているのでは、と言っていました。
次に、競技に置いてチェックすべきポイントについても教えてくれました。
モダンについては、
・ポイズ(姿勢)が保てているか(背中から軸を通して体のラインを保てているか)
・フットワークが滑らかか(スムーズな体重移動を。なるべくつまさきから。ヒールからなど細かい動き。腕や腰のコンタクトで指示を伝える。)
・曲を表現しきれているか(カウントなど。ワルツは3拍子。その曲にあったステップを踏めるか)
といったポイントを、
ラテンについては、
・カウントを表現しきれているか(チャチャの場合はエンドカウント。ルンバの場合は伸び続けられるか)
・ボディバランスを保てているか(肩と頭を一定に保つ。とんだりハネたりしても保つ。視線の問題)
・表現力があるか(ルンバは愛の表現。チャチャでは観客を指すなど細かいアピールも)
といったポイントを挙げていました。今度から競技ダンスを見るときにはこれらの点に注意してみましょう。
ちなみに競技のプログラムについてはベーシック+バリエーションという構成になっているようです。
気になる競技ダンスにおける勝敗のつけ方ですが、体操やフィギュアスケートのように技でポイントが決まっているといったことはなく、なんと審査員の「印象」で決まるそうです。なので、前述のような競技中の場所取りが行われます。審査員は四方に6~9人くらいいるそうで、点数の高い人から次に残っていく仕組み。そのため、本当にトップのレベルでは審査員が指導した選手に高得点が出たり、政治的な部分もあるなど、納得がいかない結果になることもあるそうです。ただ、基本的には上手いと思う人はやはり上がっていくそうです。
参加者から「バク転などもありか」という質問がありましたが、モダンでは暗黙の了解で両足は同時に上げないそうで、女性を持ち上げる動きも一瞬の流れの中で行うそうです。なので、バク転はあまりやらない・・・。禁止行為などは常識の範囲内のものということで、特に明確な規定はないようですが、故意にぶつかっていたりすれば審判にチェックされなくなるようです。
そして、宮田さんから社交ダンスの面白さについての話がありました。
とにかく、好きな曲に合わせて運動することはエキサイトだということです!
また、パートナーがいないと成立しない「ペアダンス」であって、男性は右腕、女性は左腕でしか繋がっていない中で指示を出すコネクション&リード、コミュニケーションの楽しみがあるということです!
また、宮田さん自身がダンスをする中で、体の内側の変化を感じられて、体の仕組みについて分かったり、また、「人の視線は点から点に動く時にあえて途中のプロセスは処理しなかったりする」「人間の目は視線でコミュニケーションが取りやすいようにできている」といった心理学で学んだことを実感できるなど、様々な発見ができた楽しさもあったそうです。
そんな魅力にあふれた社交ダンス。始めるためには学生ならやはり大学の社交ダンスサークルへ。社会人なら土日の社会人サークル等に参加するのがいいようです。また、やや高額ですが社交ダンススタジオ等でトレーナーに教わるのも技術をみにつける手っ取り早いそうです。
この後、様々な質問が出ました。例えばパートナーへの指示の出し方については、腕で引っ張ると相手がびっくりしてしまうで、肩から次の動きを伝えたり、腰で動きを伝えてから次に足を動かすとスムーズにいくようです。うまいかどうかは、組んだ瞬間に分かるそう。また、ラテンとモダンでは、ラテンは40ちかくなるとだんだんつらくなるのに対し、モダンは生涯スポーツのため、モダンの方がやや人気があるそうです。そして、社交ダンスをやるメリットとしては、アメリカなどでは週末にパーティーで踊ることもあり、他にも姿勢や体型をきれいにする、体の内側に筋肉がつく、といったことがあるようです。また、他のダンスに応用可能か、という質問に対する答えで、筋トレして体幹・軸をしっかりさせるので可能であり、またリズムさえとれれば、たとえJ-POPだろうとどんな曲でも踊れると言っていたのが印象深かったです。
誰かが指摘していましたが、日本人は極めて踊る機会の少ない民族のようです。練習する中で体の仕組みについてわかり、また国際的なパーティーにも安心して出席できるようになる(?)社交ダンス。ぜひ始めてみたくなりました。