10/8 NHKオンデマンドのいいところといまいちなところ

今日は、東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻 修士課程、東京大学大学院情報学環教育部研究生の江崎肇さんによる、「NHKオンデマンド どこがすごくてどこがいまいちなのか」でした。
テレビ番組をパソコンで観ることはもはや当たり前の時代になってきましたが、そこにNHKが参入することの意義と今後の課題が議論されました。

You tubeをはじめとして、テレビ番組はネット上で無料で観ることができます。しかし、例えばYou tubeは検索が難しかったりコンテンツに抜けがあったり、よくわからない海外動画が多かったり、満足できる品質とは言えません。
有料でも良いからきちんと整備されたコンテンツが欲しい、というニーズはあると思います。

そんな中、番組の質に定評のあるNHKが、ネット上で番組を有料配信する「NHKオンデマンド」という取り組みを開始しました。
これの画期的な点は、著作権が複雑に絡み合う「通信」としての番組配信を、訴訟のリスクを抱えながらも断行したこと、番組のアーカイブ化のさきがけとなったこと、です。
DVDなどはあらかじめ契約の段階で著作権の処理が行われていますが、パソコンでの配信はこれまでに前例がないために権利の処理が不十分で、訴訟のリスクがあるのだそうです。
今後、配信が広まることで権利処理が進むことが期待されますが、既得権益にしがみつきがちな通信業界の体質がその妨害になるのではないかと懸念されています。

画期的なNHKオンデマンドというシステムですが、まだまだ未熟な部分が多くあります。
まず、コンテンツ量が少なすぎることです。権利処理の段階で、最低限の処理さえできていない番組はさすがに配信できないらしいのですが、その最低限の処理さえできない番組が多いことが原因らしいです。
また、windowsのIEでしか観られない、というのも不便さの一つです。
さらに、コンテンツの一つ一つの値段が異様に高額なのです。
ウインブルドン約80分が200円なのはまだいいとしても、ドラマ6本が約1500円だったり、アニメ約一時間分が800円だったりと、本来なら受信料だけで見られる番組に払える対価ではない値段が請求されています。

海外では、ニュースなどを見逃した人のための配信サイトは、広告をつけることで番組が無料で配信されています。
また、民放が資金力を失い番組の質を下げる中、NHKというブランドがそれだけの価値を持つというアピールをしていくべきなのかもしれません。

現段階では貧弱なコンテンツと高すぎる値段設定で、とても成功しているとは言えないNHKオンデマンドですが、モデル自体には将来性が期待されます。
受信料を払えばただでアクセスできるなど、テレビとの連携を深めていくことなどが解決策の一つとして期待されると思います。
また、日本では番組のコンテンツ作成と配信が同じ会社で行われていますが、それを分離していくことで柔軟なメディア選択が可能となるという意見もあり、今後の動画業界の変化は注目していく価値があるでしょう。

tomoyo について

東京大学工学部応用化学科4年、藤田研究室所属 有機系の研究室で、主に錯体化学を扱っています。 柏葉会という合唱サークルに所属しています。 よろしくお願いします♪
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