2/17 僕らが大学の前にカフェを作った理由

今回はLab-Cafe代表の杉本さんから、「僕らが大学の前にカフェをつくった理由」というタイトルで、サードプレイスとは何か、Lab- Cafe(シリーズ)の歩み、Lab-cafeをサードプレイスとして機能させていくためには、といった観点から大変興味深いお話をいただきました。

まず、サードプレイスとは何か。

都市で楽しく暮らすには、3つの場所が必要だといいます。すなわち、ファーストプレイス(1番目の場所)が家、セカンドプレイス(2番目の場所)が職場(学校)、そしてこの中間にあるのが3番目の場所、つまりサードプレイスで、代表的なものとしてはカフェやPUBがあげられます。この「サードプレイス」という概念は、アメリカの社会学者レイ・オールデンバーグによって“The Great Good Place”で紹介され、後にスターバックスが事業コンセプトの核として採用したことは日本でも有名です。

では、そこはどんな意味を持つ場所であり、なぜ必要なのでしょうか。

杉本さんも参照されたミルキイマヤトモさんの分析によれば、サードプレイスの持つ機能として特に強調されるのが「ニュートラル」と「ローカル」であるといいます。サードプレイスは社会的な役割とは無関係な場所で、ありままの自分に戻れる場所であること。そこに出会いの場があり、コミュニティに根ざした場となっていること。そういったところに重要な意味があるようです。

このような場所としては、歴史的にみて日本では、銭湯・縁側・井戸端といった場所が、フランスではカフェサロンが、イギリスではPUBがあげられます。そして現代の日本の社会人にとっては雰囲気を楽しむスターバックスや、(初期の)mixiがあげられるのではないか、ということでした。また、さらにコンビニやファーストフード、コミケやゲームショー、ライブイベント、そしてネット掲示板などがサードプレイス足りえるか、それぞれにどんあ違いがみられるか、についてもテンポラリーサードプレイスといった概念も引き出しながら考察していったので、イメージをつかむことができました。

さて、ではサードプレイスであるためにLab-Cafeはどのような歩みを経てきたのか。

もともとLab-Cafeは、UCLAの「深夜に学生が集まって勉強しているカフェ」にインスピレーションを受け、

・専攻や職場の壁を越えた

・ユーザーの頭の中に存在する

・持続可能な人的・情報的ネットワーク

を宿らせた空間を本郷に実現しようという試みで2007年に提案されました。そしてコンペ等を経て2008年4月にオープンしたそうですが、活動を続ける中、そこがまさにサードプレイスたるべき場所だと考えるようになり、そのための仕組みづくりを意識するようになってきたそうです。

そこで、持続可能な人的ネットワークをつくるための仕組みについて、「ストリーム」と「ミキサー」という概念を用いて説明していました。具体的に一部をあげると、

ストリームとして、

・基本機能 深夜まで営業すること

インターネットと電源が使えること

・イベント グループ内部向け

グループ外部向け(コンサート・ワークショップ等)

・口コミ  オフライン(コア学生、ユーザーの紹介

オンライン(Twitter、デザインコンペ)

ミキサーとして、

・人物 マスター

常連、顔見知り通し

・物的 黒板

書籍

ダーツ

化学模型等のツール(大好評みたいです!)

・仕組み Lab-Cafeなう (Twitter)

・ログインシステム(考案中)

といったことを挙げられていました。感想で話された方もいましたが、これを見ただけでもわかるとおり、とにかく猛烈な手間をかけ、ただ「ハード」としての場所をつくるだけでなく、そこで望ましい状況が実現されるように「ソフト」面のことをどこよりも深く考え、日々修正・再構築しているということが伝わってきました。

加えて、これはすごい、と思ったのがその設計と運営です。

設計はWHITEROOM 呉鴻逸さん、松本由希子さん、yosuke komiyama さんという

方々が手がけたそうですが、これはコンペ形式で行われ、100件以上もの応募があったそうです。さらに主要取引先はなんと塾の栄光さんです。「大学生に恩返ししたい」という栄光さんのご厚意のもとに成り立っているという話に胸が熱くなるとともに、それを実現させより良い場所づくりのため日々働き続ける杉本さんには類まれなる志の高さ、パワーを感じました。今後は、さらに空いている土日を貸し出す「ユニット」という仕組みを強化し、サードプレイス上にテンポラリーサードプレイスを発生させることを目指していくとのことです。そして、今後のご自身の関わり方について、学生がのぞむものを真に理解できる年齢、立場の者に運営者は代わっていくべきであること、「この場所はいらないかもしれない」という前提を忘れないという言葉がとても印象的でした。朝からモンテベルデがいっぱいになって大変盛り上がった発表でした。

また、Lab-Cafeシリーズの事業として、早稲田のLog-Cafeの説明もしていただきました。こちらは、「楽しく食える」ことをコンセプトとし、イベントを軸としているカフェとのことですが、(笑っていいとものようにそこに来て話してくれた人が次の人を呼ぶ)コモンミール制度という非常に面白い仕組みを持っているとのことで、こちらも要チェックです。

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