6/9 障害って何だろう?

突然ですが、問題です。作業所での障害者の方一人あたりの賃金は、月でいくらぐらいだと思いますか?

今回は橋本さんに障害者自立支援についてお話いただきました。

橋本さんは、ワークングホリデーで行ったカナダで初めて障害者と接し、以来日本に帰ってきてからも関わっています。特に前にいた外資系企業はボランティアを推奨していて橋本さんが立ち上げたプロジェクトは今も続いているそうです。

この間まで「障害者自立支援調査研究プロジェクト」に調査員として参加。調査を行ったのは典型的な作業所と、先進的な取り組みをしている作業所にフィールドワークをされていました。

典型的な作業所で行っている作業は、箸やボールペンの袋入れなどの単純作業です。一つあたり50銭相当になります。数的には、知的障害の方の平均が、1時間に90円分。(橋本さんが実際やったところ、1時間に240円分)。でも、障害者の方が作った袋がすべて使えるわけではなく、曲がっていたりずれていたりするのを直す必要があります。その時は4分の1はやり直しで、ボランティアと支援者で締め切りに間に合わせるように直すことになっていました。
そのような作業を1カ月する結果として得られる賃金。

冒頭の質問の答えになりますが、全国平均は、1万2000円くらいです。

では、工賃を上げられるのか? 上げるべきか?
現場の声としては「不要」という意見が目立ちます。
「利用者の多くが生活に困っていない」「作っているものが売れないけど頑張ってるからいい」といった
経済面以外を作業所の役割として重視する意見、「現場が忙しい」「受注を増やす努力ができない」という支援事情のキャパシティーをめぐる意見などがあります。

けれど、それでは、その場しのぎな対応にならないか?親などの生活をサポートするひとがいなくなったら?
それじゃ支援者は何をしているのか? そもそも何を目指しているのか? など、課題が残ります。

一方で、先進的な取り組みをしている所のケースです。

食品加工をしている就労系障害者施設の場合です。
その施設では
・作業の標準化をきっちりしている
・利用者の特性を生かしています。発達障害のクリニックの医師のコンサルティングで、工程を組んでいる
・難しい作業を速く終わらせるための、補助具があります。大学に作ってもらい、自分たちで作れるレベルのものにしてもらっている。
などの取り組みを行っています。

そこでは、
・障害者が地元で暮らせるように
・自立できる収入:年金+工賃で10万円が目標
・個性を生かして輝いて働けるようにする
・障害者の方が「援助してもらう立場」から、「地域に参加する」立場になれるための支援
などの目標が掲げられています。

他の先進的な取り組みをしている所も
・地元で暮らせるように
・個性を生かせるように、という所で共通しています。

大阪府のコロッケ店では、ミニコロッケを丸める作業を自閉症の特性を持つ方が担当していますが、長時間集中し、正確に丸めるのは、健常者よりも得意だそうです。
愛知県の飲食店の事例。そこは、色つきのタグで注文をするかたち。なので、発音が聞きとりづらい場合でも、きちんと注文を取ることができます。

このような先進的な施設を見て、橋本さんは言います。
「そこに『障害』はありませんでした。特性を生かして、キラキラ輝いている人たちがいるだけでした。果たして。障害って何なんでしょう?」

橋本さんは、障害者の方々がキラキラ働けるようなカフェを作りたいと、現在社会的起業の準備をされています。
普通の人との違いを埋める社会から、個性を生かして共存できる社会へ。
今回ブログを書いている私自身は、健常者/障害者、支援という言葉が持つ括りの強さにあまりにも無自覚にその分け方を使った言い方をしていたことに気づかされ、凄く反省しています。自分がどんな色眼鏡をかけているか、ということを自覚して物事を見なければならないということを痛感いたしました。

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