7/29 大学検定から学ぶこと

大検 今日は東京大学大学院新領域創成科学研究科修士1年の江崎肇さんの、「大学検定から学ぶこと」でした。
大学検定は「大学受験のための資格」で、現在の高卒認定は「高校卒業程度の学力と公的に見なされる」資格だそうです。
現在は、高校のシステムがあわずにドロップアウトした学力には問題ない学生の、大学進学への手段、または、経済的、学力的な理由で高校進学しなかった人が苦労してとって「成り上がる」ためのもので、二極化していそうです。

親の収入、周囲の環境、本人の適性などで大学検定の捉え方は変わってくるのだそうです。

発表のあとは、同じく大学検定で東大にいらっしゃった方の体験談や、逆に不適合を起こしようがない自由な高校の思い出話など、様々な話に花が咲きました。

システムに不適合してしまった人間を救済する手段があることは素晴らしいと思います。
これからはもっとポジティブに、やりたいことをやるために時間を使うための手段として認められるようになっても良いと思います。
ただ、問題例を見て、「高校卒業程度の学力」が思った以上に低く設定されていることが衝撃でした。

以下、野間さんの議事録による当日の記録です。

三文会
「大学検定(高校認定試験)から学ぶこと」

佐久間君
私立の男子校で中高一貫、東海高校(江崎君の滝高校のライバル)出身です。

学内は中学、高校は分かれて活動はしている。
何人かは(例えば一学年6名)は高校にあがることができない。
学校に行っていた理由は、コミュニケーション。
中学高校の友人は一生の友達になる。

山内君
無遅刻無欠勤だった。
部活で水泳部キャプテン、委員会、クラブ活動を5つ兼任して、
お祭りごとみたいな、毎日がカーニバル

野間
サッカー部に入っていたこともあり、サッカーや筋トレなどのため、
日々頑張ってました。遅刻ぎりぎりORアウトな時間帯に家を出ていたが、
出欠上は出席

堀田さん
県立の進学校
1、2年生はマイペースだが、3年になると目の色を変えて、勉強をし始める。
1、2年で部活に波に乗れず、勉強もいやだったので、何で行ってたんだろう。
小学校、中学校で欠席があったため、高校で皆勤賞を取りたくて頑張った気がす
る。

栗田さん
友達が一番の理由。学校が大好きだった。
松田さん(初参加)
千葉の銚子の小中高と公立に通っていた。
それが普通だった。
地方なので、通っていないのは、不良のみという考えだった。

奥村さん
行くのが当然という地域柄もあるが、
先生のキャラクターが濃く、面白かった。
今でもつながりがあり、修学旅行にかこつけて、話にこないかと誘われている。
組織に属している安心感がある。
今は何とかして自由に生きる方法がないか模索中です。

熱川くん
親が高校の教師で生活指導担当だったので、ほかの選択肢がなかった。
反高校の塾に通っていた。
体育、音楽、部活の時間が無駄だと主張していた。
さぼることで実践した人もいた。

山下さん
学部時代の友人の江崎くんの名前を見かけたので初参加しました。
広告代理店で営業をしています。
佐賀県出身で身の置き場として高校しかなかった。
本を読んでたり、部活をしていた。

新宮さん
大検だった。
中高一貫校で勉強ばかりしかしないところだった。
いろいろやりたいことがあり、ヒッチハイクで旅をしたりしていたら、
当然出席が足りなくなって高校を中退しました。


江崎くんによる発表開始

学校行きたい人とほかに行く場所がないのと二つに分かれるのかなと思った。
(のんびりと紙芝居形式で行こうと思います。)

自己紹介
高校2年のときに、大検をとっている。
東大の文3に合格し、教育学部を経て、現在は新領域で途上国の情報教育を専門としてます。

アジェンダ
・大学検定をマクロに見る
・大学検定を事例から見る
・個人的考察

高校認定は難しくない
大学検定の受験生・合格者は二極化している
・大学に行く目的の人
・受かることが目的の人

大学検定
大学入学資格
高等学校卒業と同等とみなされる場合が多い
高校認定(2005年)
高等学校卒業と同等以上の学力があると公的にみなされる
ただし、家庭科などが抜けるので、卒業扱いではない

受験者数 3万人で増加中
高校卒業と同等ということになった。
もっと簡単になったらしい(8科目)
高校中途退学者は8万人
出願者数はもっと多い

合格者数 11000人くらい
毎年3-4割合格
一部合格は5割くらい

※受験資格に年齢はない

誰が受けているのか?
⇒データがあまりネット上でも出てこない
数がそもそも少ない
お金を持っている層とも思われていないのであまり誰も興味を持っていない?

菅沢(2006)によれば
・親の学歴はかなり高い
・家計状況は良好なケースが多い

⇒自由な家、経済的な余裕が中退を許してくれるのか?

個人的な側面⇒さらに情報がない。

河野(1996)
高校外の思想や集団に準拠する高校生が大学検定を受けやすい
部活、学園祭にコミットしている人はやめることはない
美術・文学・政治志向

<事例から見た話>
合格体験記より
悩み
心理的な悩み 8/22
金銭的な悩み 2/22
http://www.808dekiru.com/

※高校認定は、高校に通いながら受けることも可能

自分自身の事例
・学校を辞めた理由:学校が合わない、つまらない
※うまい棒千本買えなかったら、やめると宣言してしまった>きっかけ?
・金銭的に困った感覚はない
アルバイトをしていたが、何かをやっていたかった。
※その金で予備校に通ったわけではない
・友人も同様にやめてしまった

蛍雪義塾(無料の高校認定予備校NPO)
・経済的困難にある方に、教育で「なり上がる」
・対象はめぐまれない子供たち
・生徒は多く抱えるが、実際に高校認定試験に合格した学生は非常に少ない

高校生のグループ分け
・学校をやめない層
・大検→大学層(余裕のある層)
・蛍雪義塾層(余裕のない層)

余裕のある人の使う大検は、むしろ楽なのに、
大検、すごいねといわれる。

考察
・大学に進学を希望する学生には合格は非常に容易
・大検受験者の多くは、周辺環境は恵まれている。一般の大学受験生と大差はな

・大検を成り上がりの手段とする層がいる
・浪人率と高校をやめる率に相関がある?

—–
感想の時間
奥村さん
高校は出るのが当たり前だったので、こういうすごい生き方があると初めて知りました。
人生いろいろというのが分かったきがします。
自分のこどもが大検受けたいといったときに少しは理解できるかな。
たてのつながりが残るのもいいところだと思うので、
組織に属するというのはいいと思う。

山下さん
いつも9時くらいに起きているので、良い早起きの機会でした。
東海高校の特徴が面白くて、会社とかにも応用したら、
離職率を抑えるのにも役立ちそう。
高校に行かないことを、兄弟がうらやましいと言われなかったか?
>父親から言われた(by しんぐうさん)、弟からうらやましがられた(by 江崎
君)
また寄らせてください。

佐久間さん
大学は中退しているので何となく気分が分からないでもない。
学士論文を書けば、学士は取れる。
そういう制度はやめるためはいい。

高校やめたら夜間しか選択肢がないというのは、やめるのが難しくなってしまう
意義を見出せないと通ってもいい人間関係もできないと思う。

山内くん
自分が触れたことがない分野だったので、新鮮。
試験が難しいという印象があるが、合格率が低いので印象づけられているのか。
ドロップアウトして逃げ道がないと気分が暗くなるといけない。

野間
大検を受けた人をほかに知らなかったので新鮮でした。
僕自身の高校では、東大に行く以外の選択がほぼなかったので、
東海高校のような話は新鮮でした。

堀田さん
東海高校は未知の世界で、自分がそこに行ってたら、どうだったんだろう。
自由にやっていいといいつつ、勉強しろといってるとしか思えなかった。
部活も勉強の息抜きという空気がある。
大検という選択肢があれば、使ってたかなと思った。

栗田さん
大検を受けて大学に来ている知り合いがいましたが、その人はその生き方に誇りを持っていた。
その一方で、大検という選択にちょっと引けめを感じる人がいるんだなと今日の話から思いました。

松田さん
公立高校に通うという選択肢しかなく、それも2-3校しかなかった。
三文会にはこれからも、朝早く起きることができたら、参加したいです。

「匝瑳高校」

熱川君
二極化している点
大検も受けられなくて社会にでてくる人がいる。
そういう人がきちんとサポートできる世の中になるといいなと思います。
公立高校出身で地域の顔役を目指している。

新宮くん
大検は誇りもって生きている。
やりたいことをやってきた。
高校も中退、大学医学部も中退しているので、東大も中退しようかなと思ってし
まう。
大検も落ちてしまった人はどうにかしてあげたいと思った。

横田さん
楽しそうな話を聞けなかったので残念でした。
高校は面白くなかったので、よく早退して帰っていた。
やめてたらどうなってたかな。
推薦入試で医学部に来たので、高校に行っていてよかった。
(藤原紀香の出身校)

石塚さん
終わったあとの雑談から
皆さんは、3年前とかに受験だったのですが、自分はもうだいぶ前ですね。

山形出身、
東北は、県立高校の勢力が強い・・・
大検を受けていく人は少ない。
知り合いで、大検⇒横浜国立⇒東大医学部を目指していたが、
急死してしまって、
会社組織は進化が早いが、学校は、ステークホルダーが多く変わりにくい。
皆さんで、いい意味で変えて行って頂けると。

江崎君
中退は癖になる。
自動車学校も中退してしまった。
何かあったら、「やめちゃおう」と思ってしまう。
アメリカでとって、外免切り替えとかしてしまおうと他の方法を考えてしまう。

tomoyo について

東京大学工学部応用化学科4年、藤田研究室所属 有機系の研究室で、主に錯体化学を扱っています。 柏葉会という合唱サークルに所属しています。 よろしくお願いします♪
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