遠くの深い森の中の音声や映像が東大から配信されているのをご存知ですか?
サイバーフォレストというこのサイトでは、無人の森が常時モニターされています。
今回はその研究(?)を手がけてこられた斎藤教授による発表です。
以下、発表者の斎藤さんによる告知文です。
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1993年WWWの無料ブラウザーMosaicが公開されたの見て、遠隔の天然林の日々の様子を毎日ウェブで共有できれば、もっと多くの人に森林を身近に感じてもらえると思い1995年無人ビデオカメラの開発を開始し、翌年の秋から毎日無人で稼働させ、ビデオを回収し、デジタル化してウェブで公開するまでの一連の実証研究をスタートさせました。1997年より、映像を中心にしてインターネット上に構築される森林環境情報を総じて「サイバーフォレスト」と命名し、2010年からはソーラー発電と衛星ネットワークにより現地を直接インターネット接続し、リアルタイムで森林をモニタリングする「ライブモニタリング」を開始しました。特に「森の音」をリアルタイムで配信するライブ音配信とその録音公開の継続を最重要課題としてシステムの開発と運用を進めています。現在では国内8カ所にこのサイバーフォレスト・ライブモニタリング地点を設置して運用を継続しており、パソコンだけで無く通勤通学の電車の中でスマホで聞くこともできるようになりました。
4月〜6月は鳥の繁殖期で、日の出前後からの早朝は、どこも鳥の声で賑やかでビックリします。そして日々の自分の生活の中で、遠隔の森林の音をリアルタイムに聞いていると、偶然に起こる森林の音から、様々なことが想像されます。
実際に森林ライブ音の再生方法と楽しみ方から、ライブ音を使った鳥の調査手法「audio census」を解説し、サイバーフォレスト研究を進めながらつらつらと考えるようになった「全球感覚 sense of globe」について皆様のご意見を頂きたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。
【一分間スピーチのテーマ】
遠くの森のライブ音配信を多くの人に聞いてもらうにはどうしたらよいでしょうか?
【発表者プロフィール】
斎藤馨(さいとうかおる)東京大学大学院新領域創成科学研究科自然環境学専攻 自然環境景観学分野 斎藤研究室
1955年新潟県長岡市生まれ。千葉大学園芸学部造園学科風景計画学研究室卒業、東京大学大学院林学科森林風致計画学研究室修士修了・博士単位取得退学。民間環境コンサルタント(株)プレック研究所を経て、東京大学助手、講師、准教授を経て教授。専門は自然風景計画・景観アセスメントですが、パソコン・カメラ・アウトドアの趣味が影響しているのか、電源もネットワークも無い圧倒的原生自然な森の様子を日々毎日知りたいとの思いからサイバーフォレストを継続している気がします。