道具の使用は、かつては人間や大型霊長類だけができる知的な行動と考えられてきました。しかし今では、道具を使える鳥の存在が明らかになっています。ニューカレドニア島に生息するカレドニアガラスは、棒を巧みに用いて朽木に潜む昆虫を「釣る」ことがわかったのです!
さて、カレドニアガラスが道具を使えるのはなぜでしょう?他のカラスより「賢い」から?
実は、話はそう単純ではないのです。
本会では、カレドニアガラスの生態、体のかたち、脳体積、他のカラス種との行動比較など、様々な側面からカレドニアガラスの特徴を分析します。
さらに、以前三文会でお話してから、この分野で大きな進展がありました。できたてホヤホヤの最新情報もぜひお楽しみください!
道具を用いるという行動がどのような条件のもと動物に備わるのか。この発表を通して考えてみましょう。
【一分間スピーチのテーマ】
自分にとって最も愛着があり、手足のように用いることができる「道具」を教えてください。
【経歴】
松井 大 (まつい ひろし) 1991年横浜生まれ。慶應義塾大学社会学研究科博士課程。日本学術振興会特別研究員 (DC1)。 哲学をやりたくて大学に進学したはずなのに気づいたらカラスの研究をしていた。でも小学生の頃は恐竜博士になりたかったので、ある意味原点回帰しているような気もする。 Twitter: @HeathRossie
【文献】
読んでくる必要はまったくありませんが、興味のある方のために挙げておきます。
・渡辺茂, 2010, 鳥脳力―小さな頭に秘められた驚異の能力, 化学同人
カラスに限りませんが、鳥の認知能力について書かれた一般書です。ハトにピカソとモネを見わけさせる実験など、一風変わった研究が数多く紹介されています。
・樋口 広芳 (編), 2010, カラスの自然史 ー 系統から遊び行動まで, 北海道大学出版界
生態から個体の行動まで様々な角度からカラスを眺めた渋い専門書です。著者の一人である伊澤栄一は私の指導教員です。
・Nathan Emery, 2016, Bird Brain―An Exploration of Avian Intelligence, Princeton University, Press
鳥の認知研究に関しては世界トップレベルの研究者の書いた一般書です。洋書ですが、各トピックが見開き1ページでまとめられているのでサクサク読めてしまいます。
日時:5/26(金)18:30開場 18:50開始 20:00終了
場所:Lab Cafe (東京都文京区本郷4−1−3 明和本郷ビル)
料金:学生1000円、社会人3000円
※閉会後、希望者で夕食に行きます
参加表明は下のフォームから、5/26(金)17:00までにお願いします。